
自動運転を経営のコアに置くEVメーカー シャオペンについて解説します。
世界最大のEV市場は中国です。その中国の新興3強EVメーカの一つが、シャオペンやエックスペング(XPEV)と言われる企業です。
シャオペン(XPEV)基本データ
社 名 | XPeng Inc |
本 社 | 中国 広州市 |
ティッカー | XPEV |
セクター |
Consumer Discretionary:一般消費財
|
創 立 | 2014年 |
上 場 | 2020年(NYSE) |
時価総額(USD) | 43.9 Bil(2021.11.23) |
事業概要
エックスペングは、ヒー・シャオペン氏により創業され、中国では『X』のシンボルマークの横に小鵬(シャオペン)と書かれているため、シャオペンとも呼ばれています。
シャオペンは中国国民を顧客とするの電気自動車メーカーです。展開する事業は中・高級車市場を対象にスマートEVの設計、開発、製造、販売を行っております。シャオペンの目指すところは2~4年後に “ドライバーを排除すること” です。自動運転レベルで言うとレベル4の自律走行に到達することです。
マニュアル操作
・レベル0: ドライバーがすべてを操作
運転支援
・レベル1:システムがステアリング操作、加減速のどちらかをサポート
・レベル2:システムがステアリング操作、加減速のどちらもサポート
自動運転
・レベル3:特定の場所でシステムが全てを操作、緊急時はドライバーが操作
・レベル4:特定の場所でシステムが全てを操作
完全自動運転
・レベル5:場所の限定なくシステムが全てを操作
シャオペン(XPEV)の業績

四半期 | 売上高 CNY Mil | EPS |
3Q | 450 | -1.23 |
2019/12 | 640 | -0.54 |
1Q | 412 | -1.17 |
2Q | 591 | -1.62 |
3Q | 1,990 | -5.06 |
2020/12 | 2,851 | -1.00 |
1Q | 2,951 | -1.00 |
2Q | 3,761 | -1.50 |

CF($ Mil) | 営業利益率 | ROE | ROA | 営業CF | 投資CF | 財務CF | 現金・現金等価物 |
フリーCF
|
2018/12 | -17452.40% | -% | -29.40% | |||||
2019/12 | -162.90% | -% | -44.00% | |||||
2020/12 | -73.50% | -35.40% | -18.10% |
シャオペンの自動車

シャオペンは、主に中高級車のセグメントで、自動運転ソフトに力を入れたEVを作っています。2020年7月に発売された”スポーツ・セダン”タイプの『P7』は、22.99万元~(約400万円)となります。
充電一回での走行距離は700㎞とこれまでのEV自動車との一線を画します。(日産リーフ 458㎞)
2020年は7月から発売されたこともあり販売台数はまだ、遅れをとっているように見えますが、2021年1月~5月はTop10に食い込んでいます。
同社が展開する事業でユニークなところは、先述しましとおり自動運転を経営戦略の主に据えている所です。
テスラとの違い
自動運転の技術は世界でテスラとの2Topとなります。
テスラとの自動運転における構造的な違いは、LiDARという『レーダー』を搭載するか否かです。
LiDAR(Light Detection and Ranging、光による検出と測距)に依存する企業は「破滅する」
テスラのイーロン・マスク氏の発言
マスク氏の発言は有名で、LiDARへは頼らず、高性能のカメラを搭載して全天候対耐型を目指しています。”LiDAR” を搭載するデメリットには、その高額なコストにあります。
搭載予定のシャオペンによると、初期のLiDARユニットで10万ドルのコストがかかっていたと、CEOの発言で明らかにされました。現在はこの価格より、2桁低くなった、つまり1,000ドル代で搭載可能という事です。
そんな、シャオペンが目指す自律運転の検知システムの全容は、LiDARに加えて、位置や速度を示す通常のレーダー、情報を大量に処理するカメラの3つの冗長性がある構造です。
これによって、現在自動車運転可能とする高速道路以外で、複雑な道路状況の都市部においても自律運転を可能とする構想です。
世界のEV市場

こちらのキャプチャーは世界のEV市場を予測したものです。
ご覧の通り、米国の3倍以上市場があるのは中国です。中国政府のEVへの補助金も他国に比べて豊富であり、今後も引き続き “中国”と“欧州” がEV市場の主戦場となりそうです。
中国市場

2010年頃には、中国において20社くらいのEVメーカーがいましたが、現在は幾分か淘汰されてました。
残ったEVメーカーで中国のテック企業が出資ている注目の4社が、シャオペン、NIO、リーオートです。知名度はNIOが先行しています。
中国市場シェア率

こちらのキャプチャーは中国のEVシェアとなります。2020年はシャオペンがまだ「その他」の一部となりますが、先述の “P7” は2021年の売れ行きが好調です。
中国のEV販売台数 Top10
2021年1月から5月までの中国市場におけるEV販売台数
順位 | 車種 | 価格帯 | メーカー | 販売台数 |
1 | 宏光 MINI | 格安 | 上海GM五菱汽車 | 128,796 |
2 | テスラ モデル3 | 中高 | テスラ | 68,330 |
3 | テスラ モデルY | 中高 | テスラ | 34,557 |
4 | BYD 「漢」EV | 中高 | BYD | 32,862 |
5 | Aion S | 中低 | 広州汽車 | 26,383 |
6 | 欧拉 黒猫 | 低 | 長城汽車 | 25,486 |
7 | 奇瑞 eQ | 中低 | 奇瑞汽車 | 24,464 |
8 | 奔奔 EV | 中低 | 長安汽車 | 22,770 |
9 | 理想 ONE | 中高 | リーオート | 22,441 |
10 | 小鵬 P7 | 中低 | シャオペンADR(XPEV) | 14,766 |
2021年の1月~5月の累計販売台数で10位にシャオペンの “P7” がランクインしました。シャオペンと同じように中国の3強新興EVメーカは、NIO(12位)、リーオート(9位)となり、5位、6位には既存の自動車メーカである “広州汽車” と “長城汽車”がランクインしています。
1位は上海GM五菱汽車(非上場)の小型EVとなる「宏光MINI」が2020年から大ヒット継続中です。
4位に位置するBYD(香港市場上場)は中国のEV最大手となります。BYDはBEV〔2〕とPHEV〔3〕を含めた販売台数が8年連続で中国首位となる企業です。
〔2〕:純電動自動車(Battery Electric Vehicle)エンジンを搭載しない電気自動車のこと
〔3〕:プラグインハイブリット車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)
まとめ
共に学んで豊かになりましょう!それでは、また!!
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