こんな疑問がある方のために、記事を書きました。

ロシアによる”ウクライナ侵攻”が始まったけど米国株に影響があるの?という疑問がある方へ向けて記事を書きました。
日本時間の2月24日正午にプーチン大統領による軍事作戦実施の発表がありました。以前の記事でロシアのウクライナ侵攻の可能性は低いと予想しましたが…見事に外れてしまいました。
戦争は起きて欲しくないという希望的な観測も少し混ざっており、今でも犠牲が出ることなく収束する事を願っています。
今回の記事は、注目される“今後のロシア制裁”と“今後の米国市場見通し”となります。
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現時点での制裁
2/22に米国のバイデン大統領より、「ウクライナへの侵攻が始まった」とロシアを強く非難してから、その翌日となる2/23に追加の経済政策が発表されました。
制裁が発表されました。ただ、制裁は事前に予想されている内容でした。
・米ドルに加え、ユーロ、ポンド、円では決済できなくなる
・金融機関(銀行VTBなど)を米国の金融システムから遮断
・プーチン大統領寄りの企業米国資産を凍結
※SWIFTの排除は無い
ロシアの金融機関は毎日約460億ドル相当の外貨取引を行っており、米ドルはその80%を占めています。
大きな制裁切り札
SWIFTからの排除
ただ、今回の制裁ではSWIFT(スウィフト)〔1〕の排除はありませんでした。このネットワークから排除されると、ロシアは他国の通貨が受け取れなくなります。
つまり、他国との貿易に制限が出てくるという事になります。“SWIFTの排除”はロシアのGDPを5%も引き下げる大きな『切り札』となりますが、この切り札を引けばアメリカ、ドイツは自分の首を絞めることになりかねません。
その理由はSWIFTのネットワークから外れると、原油や天然ガスなどの貿易が行われても、外貨で支払う事が出来なり、原油や天然ガスの価格が高騰する事が予想されるからです。
SWIFTの排除が一部の銀行で行われました。原油や天然ガスの決済が多い銀行で排除されていると、価格の高騰が起きそうです。
一方、今回の制裁によってロシアが金融面でも中国との結び付きを強めて別のネットワークの構築を強化していくキッカケになるという警戒も出ています。
〔1〕:SWIFTとは国際送金ネットワークと言われ、国際金融において必須となる送金手段です。
ロシア産のエネルギー輸入禁止
輸入禁止は一国が行っても制裁は効果がないため、複数の国が同調して行わなければいけません。しかし、世界中でインフレが広がっているため世界各国の調整に難航する事が予想できます。
米国でロシア産原油の輸入禁止措置がとられました。しかし、ロシアが原油を米国に輸出する比率はたった2.3%と微小ため、欧州(53.5%)の禁輸措置が取られないと、効果は限定的です。
英国政府は米国と同調して、段階的に輸入量を縮小し、年末までに停止する事を合わせて発表しました。しかしながら、ドイツはロシアからのエネルギー輸入が当面必要だと声明を公表しました。
【原油】
・欧州:50.1%
・中国:31.5%
【LNG】(天然ガス)
・欧州:53.3%
・日本:21.5%
出典:JOGMEC-ロシア情勢
一番エネルギーを使用する用途は「発電」です。2021年のドイツの発電燃料には石炭が27%、LNGが15%です。つまり、LNGが輸入できなくなっても高需要期(冬、夏)以外は問題は生じません。
LNGは発電用と以外に暖房機の燃料とされています。今年の冬が終われば、LNG需要も減少していく事が想定されますので、越冬してから1年をかけてLNG輸出先の確保と、備蓄量の増加を図る見込みがあります。
米国市場
以前の『戦争と株価』の関係について詳しく解説しました。こちらではアメリカが主体となっていない戦争では影響が限定的でした。(詳しくは関連記事リンクからお願いします。)
では、今回の値動きを確認してみたいと思います。
S&P500のチャート

プーチン演説後のS&P500指数は高値から安値の幅が4.23%のボラティリティが高い一日となりました。しかし、過去を見ると1/24も4.61%となる同程度のボラティリティがありました。
1/24はPMI〔1〕が発表された程度で、あまり印象深いイベントやニュースが無かったと記憶しています。1/27にあるFOMC声明を控えていた不安定な市場でした。
この事から、やはり米国が主体となっていない戦争では米国株式市場にあまり影響しないと言えます。
今後も引き続き、“FRBの金融政策”と“米10年債利回り”に注視すればよさそうです。
〔1〕:Purchasing Manager’s Indexの頭文字で購買担当者景気指数のこと。、製造業、サービス業ごとの集計を行っており、『50』を下回ると景気が悪化していると見られます。
まとめ
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共に学んで豊かになりましょう!それでは、また!!
関連記事
戦争と米国株の関係について分析しました。
なぜ、ウクライナへロシアが侵攻しようとしているのかを解説しています。
ロシアの輸出割合を円グラフで添付しています。