こんな疑問がある方のために、記事を書きました。

景気が良い時に成長する銘柄は?
業種毎への投資方法は?
セクターサイクルってなに?
この疑問を解決する記事を書きました!
『セクターローテーション』って聞いたことがありますでしょうか?
これを簡単に言うと、景気のサイクルによってパフォーマンスが上がる業種(セクター)があるという事です。

事前にどのセクターの株価が上がるか分かるってことですか?
概ね、そうなります。
次に伸びるセクターが事前にわかっていれば、そのセクターへ一回り先に投資しておくだけで、大きな利益を見込めるという事になります。
それでは、早速セクターローテンションについて解説します。
各項目ごとに要点を記載しますので最後までご覧いただけると嬉しいです。
今回の記事が、「面白かった」「タメになった」と感じた方は、ご紹介やSNSにアップしていただけたら励みになります。

ぜひ、ご紹介おねがいします
セクターの概要

セクターローテーションとは、『企業の業績と関係なく景況感に合わせて売り買いが行わる』現象のことです。
個別企業に投資を行っていると、業界全体が売られることがあります。
あなたが投資している企業の業績が良いはずなのに、業界全体の売りに巻き込まれてしまう事があります。
このセクターローテーションについて認識しておくと、マクロの視点で全体の売りを事前に察知して投資を行う事が可能となります。
セクターの分類

セクターとは、業種と訳され企業を分析する上で便宜上区分けするためのグループです。
セクターは世界産業分類基準(GICS)で11種に分かれています。
『エネルギー』『健康管理』『材料』『資本財』『一般消費財』『生活必需品』『金融』『情報技術』『通信サービス』『公益事業』『不動産』
セクター区分である11分類では、全ての産業を区分するのに少々無理があります。
実は、この11分類の他に細分化で21の産業グループ、97の業界サブグループで構成されています。
ただ、97分類で区分してしまうと、分析する時に複雑になります。しかし、11分類であれば分析が行いやすくなります。
市場を支配する機関

主観となりますが、セクターローテ―ションが規則正しい周期で変化しないのはFRBによる政策金利によるものだと考えられます。
FRBの金融政策
市場に任せていては、景気〔1〕が過熱したり、恐慌を招いたりしてしまいます。
〔1〕:景気とは、企業や消費者がお金を使っているかにより判断されます(金回りのスピード)。沢山の消費を行うと好景気と言われ、その逆であれば不景気といわれます。
そこで、FRBはなるべく経済成長が持続するように政策金利の上げ下げで舵取りします。これにより、セクターサイクルは筋書き通りとならず、FRBの動向を予測した投資家の関心の向く方へ状況は変化します。
近年のFRBによる大胆な政策が実行される事によって、過去に重要視されていた『コンドラチェフの波』などの景気循環の周期がズレてしまっていると考えられます。
そもそも、市場に任せていても循環が行われ、循環が行われる要因はいくつかあり、それについてはこちらの記事で解説しています。
景気と政策金利

金利と株式の関係は複雑です。FRBによる利上げはその裏付けとして“企業業績”と”景気”が良い事が前提となります。
- 金利を下げ好景気を狙う
景気が悪化しだすと、政策金利を下げます。すると、利息が小さくなり、借金しやすくなるので設備投資などの消費が行いやすくなります。 - 金利を上げインフレを抑制する
金利が上げると、利息が増えるため借り入れしずらくなります。すると、設備投資などの需要が減る事(不景気)により、物価が低下します。
景気と金利の関係は“実需”と“消費マインド”の2点あります。
【実需】
金利が低くなれば、借入による負担が減ります。
【消費マインド】
国民の資産の37.8%が株式となっている米国で消費マインドを活性化させるのは単純です。株式を上げる事です。〔2〕
〔2〕:余談となりますが、株価を上げると国民からの支持が得られやすいです。そのため、歴代の大統領は選挙の前年には株価を上昇させる政策を連発し株が上がる傾向があります。
下のキャプチャは、日欧米の家計の金融資産構成の違いです。

金融資産の構成から、株式の上昇は米国人の消費者マインド向上に関係すると言えます。
2020年のコロナショック時にはこれまでにない『急激な利下げ』と『量的緩和』を行った結果、株式市場が膨張しました。
利上げは”悪”なのか

FRBは故意に株価を押し下げようとはしていません。
そのため、通常運転であれば企業の業績が悪い時に利上げが行われません。
言い換えると、利上げが行われるという事は企業業績が強いという事になります。そのため、利上げ後に株価が上昇するのが自然です。
しかしながら、金利上昇が進むことによって、消費者マインドの悪化などにより、企業業績が減速していくのも事実です。

結局、”利上げ”と”利下げ”どっちが良いの?
その答えは、『利下げ』となります。
利下げは長期的に企業業績が回復するのが見込めるため、未来の期待値を表す株価が上昇しやすくなります。
具体的に企業は、低金利状態の方が消費や設備投資が活性化しやすいため、業績が回復すると予想されています。
一方、利上げ時の株価の上昇は短期的です。(業績が強い相場が続く限り)

政策金利の上げ下げによってFRBは株式投資を促進させ景気を改善したり、景気の過熱感を抑える役割になっていると考えるとよいでしょう。
中央銀行による金融政策とサイクルについてはこちらの記事がわかりやすいです。
セクターローテーション

上の図の“青色”が景気循環を表し、“オレンジ色”が株式市場の循環を示し、最もパフォーマンスの高いセクターを上部に表示しています。
中央の点線が経済の拡大と縮小のしきい値を示しています。
このチャートの注目ポイントは景気を示す”青色”の山が来る前に株式の“オレンジ色”の山が先に高くなるという所です。
つまり、『景気が良くなった』という経済指標が出だしたら、株価は既に『しきい値』まで下がっているという事です。
セクターマトリクス
上のセクターローテーションと金融政策を一体化させ、マトリクス状にしたのがこちらです。

縦軸に『景況感』、横軸に『政策金利』にとって作成しています。
11のセクターの一つである“不動産”については、新築許可件数、不動産需要や人口増減に注目する事が必要となります。
このセクターサイクル上で“不動産”セクターは、金利が低く住宅購入の敷居が低くなり、人口の増加で需要が多くなることを想定して金融相場(回復期)へ入れました。
“生活必需品”セクターは、逆金融相場(後退期)から逆業績相場(不況期)への差し掛かりに好感されます。
その理由としては、今後金利が下がって来ることが予見でき、債権による安定的な収入が見込めなくなります。
そうなると、別のインカムゲイン先として、生活必需品など景気によって左右されにくい成熟した企業の安定した配当が好感されるからです。
- 金融相場(低金利、好景気)
不景気時の金融緩和や政府によるバラマキなどで株価が上昇
(全ての銘柄が上がる) - 業績相場(高金利、好景気)
株価上昇が消費者マインドを活性化して、高業績に寄与する
(景気敏感株が上昇する) - 逆金融相場(高金利、不景気)
景気加熱を抑えるための政策金利の上昇が始まる
利益がない企業は成長鈍化を憂慮し株価が下落
(企業の二極化が進む) - 逆業績相場(低金利、不景気)
政策金利上昇につき企業業績の悪化と、消費マインドが冷えこむ
(生活必需品を販売する成熟企業が好感)
投資家の動向

ローテーションが動いた時に、記載されているセクターのパフォーマンスが高いという事なので、割高感がでてきているセクターと言い換えることが出来ます。
畑で例えると、『収穫の時期』となります。
逆に、次のセクターや半周先のセクターは割安感が出てきていることを示すので、畑で例えると『種まきの時期』となります。
人の行く裏に道あり花の山
千利休が詠んだという説もあり
逆張り的な発想になりますが、資産を築くにはこのような考え方も必要となります。
次に、割安セクターへ投資する一助となるように、各セクターのETFを紹介します。
景況感

“VGT”などの各ティッカーコードはセクターへ投資可能となるティッカーとなります。
このローテ―ションは大雑把な区分となります。そのため、金融相場(回復期)から業績相場(好景気)の実感を得る前に、逆金融相場(後退期)となることもあります。
特に1970年代後半や2022年の高インフレ時には、FRBによる大胆な緊縮策が行われ、それに投資家の思惑が重なり株式の変動は大きくなりました。
セクターパフォーマンス(年次)

コード | セクター | 年次 | Best | Worst |
COND | 一般消費財 | 13.41% | 43.10% | -33.50% |
CONS | 生活必需品 | 10.67% | 27.60% | -15.40% |
ENRS | エネルギー | 2.35% | 54.00% | -34.90% |
FINL | 金融 | 3.99% | 35.60% | -55.30% |
HLTH | 健康管理 | 12.18% | 41.50% | -22.80% |
INDU | 資本財 | 9.43% | 40.70% | -39.90% |
INFT | 情報技術 | 16.88% | 61.70% | -43.10% |
MATR | 材料 | 9.00% | 48.60% | -45.70% |
REAL | 不動産 | 7.70% | 46.20% | -42.30% |
TELS | 情報技術 | 8.06% | 32.70% | -30.50% |
UTIL | 公益事業 | 8.55% | 29.00% | -29.00% |
S&P | S&P 500 Index | 10.66% | 32.40% | -37.00% |
2007~2021年のセクター別パフォーマンスランキングになります。これを見てわかるように毎年のように1位を取り続けるセクターが無い事がわかります。
中でも、S&P500は中央値以上のリターンが上げれる事が目を引きます。
まとめ
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