こんな疑問を持っている方へ記事を書きました。

ROE,ROAの違いは?
ROE・ROAの目安は?
どんなことが分析できるの?と言う方々のために解説しました。
ROEは日本語で自己資本利益率と略され、株主から出資された資本を使って、どれだけ儲けることが出来たか?という効率性を測る指標として使われています。
このROEは、著名な投資家「ウォーレン・バフェット」が好んでよく使っていると皆さんはご存知でしたでしょうか?
投資家以外の方であっても、ROEは投資家が注目する“投資効率”を表す指標として、理解することでROEを高める経営戦略も検討できます。
この記事では、
1.ROE・ROAの違い
2.分析手法
3.目安と注意点
について投資家目線で解説します。
ROE・ROAの違いについて
“ROE” も “ROA”どちらも企業の収益性を表す指標となりますが、それぞれ違いがあります。それはレバレッジをかけているかの違いです。
先に、”ROE” “ROA”各指標について解説した後に違いについて解説します。
ROE(Return on Equity)とは
【ROE 計算式】
・ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本

ROE(自己資本利益率)は、自己資本でどれくらい効率的な経営(儲けている)をしているのかを示す指標です。
【例1】
・A社 純利益10万円 に対し 純資産100万円 = 10%
・B社 純利益20万円 に対し 純資産100万円 = 20%
➡ B社の方が効率的
ROA(Return On Assets)とは
【ROA 計算式】
・ROA = EBIT÷ 総資産
※EBIT… 税引前当期純利益 + 支払利息 - 受取利息

ROA(総資産利益率)は、自己資本と銀行からの借金を合わせた総資産でどれくらい効率的な経営(儲けている)をしているのかを示す指標です。
【例2】
・A社 純利益10万円、総資産120万円
(純資産100、負債20)= 8.33%
・B社 純利益20万円、総資産400万円
(純資産100、負債300)= 5.00%
➡ A社の方が効率的
2つの例からわかる事
【例まとめ】
・A社 純利益10万円、総資産120万円
ROE=10% ROA=8.33%
・B社 純利益20万円、総資産400万円
ROE=20% ROA=5.00%
例1.2で上げた2つの例をまとめるとROEはB社の方が高い。ROAはA社の方が高い。という結果になります。この二つの企業を比較すると、B社の方が借入(負債)が多いという事が分かります。
ROE・ROAの違い
大きく3つの違いがあります。
- 資産の違い
分母が「自己資本(ROE)」or「総資産(ROA)」 - 利益の違い
分子が「純利益(ROE)」or「EBIT」 - レバレッジの有無
ROEは負債によりレバレッジをかけている。
1.2については先に記載した「ROEとは」「ROAとは」を確認していただけると、わかります。3.については後述する“デュポンスシステム”において解説します。
分析手法
アメリカの八台財閥の一つであるデュポン社が使い始めたことから、 “デュポンスシステム” という名前になっております。この”デュポンスシステム”を使って計算式 分解し分析します。

売上高利益率は収益性を表し、総資産回転率は効率を表します。ROEはそれに加えて、財務レバレッジから”安全性”の3つに分解されます。
財務レバレッジの式を確認すると、「自己資本比率」の逆数であることが分かります。財務レバレッジが大きくなるほど”安全性”は低下します。
この3つの分解から企業が抱える課題がわかります。
例えば、利益率が低ければ「価格が安すぎる、もしくは原価や販売管理費が高い」といったことがわかりますし、回転率が低ければ「売掛金の回収が遅いことや、在庫を抱えすぎ」といった課題が浮かび上がります。
また、ROEを高くするために負債を多くする手もあります。ただし、借り入れが多くなると財務的な危険性が徐々に高まります。
- 利益率が低く、回転率が高い企業
ディスカウントストアや家電量販店など、薄利多売企業 - 利益率が高く、回転率が低い企業
ブランド力や世界初などの付加価値で勝負する、高付加価値企業 - 安全性が大きすぎる
徐々に財務的な危機が訪れる可能性が高まる。
指標の目安と注意点
ROEの目安
目安は日本企業で8~15%となっています。米国企業で15~20%、欧州企業で10~15%となっており、日本企業は比較して低い水準です。
日本企業では最低でも5%以上、10%を超えると優秀な部類に入ってきます。
3つの注意点
- 電車どちらの指数も企業の規模的な成長と関係が無い
どちらも%表記の指数のため、売上の200%増加といったような成長について測ることができません。成長は財務諸表などで確認する必要があります。 - ROEの上昇を財務レバレッジに頼り過ぎない
先にも述べましたが、自己資本比率を下げ過ぎない(財務レバレッジを大きくしない)ことが大切です。逆に考えると、財務レバレッジには上限がありますが、”収益率”と”回転率”の向上は青天井です。 - ROAは業種により平均値が異なる
ROAの数値は、業種によって平均値が異なるので注意が必要です。例えば、鉄道会社は乗客を乗せる電車、駅、そして線路を引くことが必要になります。そのため、利益を生み出すために多額の資産を保有する必要があります。
一方、IT企業は、PCやサーバーがあれば利益を生み出す事が出来ます。つまり、ビジネス上資産(Assets)を大きく保有する必要がある業界とそうでない業界があります。
まとめ
- どちらの指標も”儲けの効率”を表している
- ROE・ROAの違いは財務レバレッジが掛かっているかどうか
- 解析することで、企業の儲け方がわかる
それでは、また!
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