
テスラのライバルと言われているEVメーカー リビアンについて解説します。
リビアンは2021.11.19にIPOした、米国のSUV系のEVメーカーです。
リビアン(RIVN)基本データ
社 名 | Rivian Automotive Inc |
本 社 | アメリカ カルフォルニア州 |
ティッカー | RIVN |
セクター |
Consumer Discretionary:一般消費財
|
創 立 | 2009年 |
上 場 | 2020年(NYSE) |
時価総額(USD) | 102.357 Bil(2021.11.24) |
事業概要
リビアン・オートモーティブ(Rivian Automotive)は米国の電気自動車(EV)メーカー。米国の顧客へむけて、主に電動ピックアップトラック「R1T」と電動スポーツユーティリティービークル(SUV)「R1S」の開発・製造に従事しています。
同社は5万5000台以上の電動ピックアップトラックを、Amazonから配送車両として10万台の受注があります。
CEOはマサチューセッツ工科大学で機械工学の博士号を取得したR・J・スカリンジ氏です。同氏はオバマ大統領に行動力と持続性が評価され、”Champion of Change”を受賞しています。
リビアン(RIVN)の業績

CF($ Mil) | 営業利益率 | ROE | ROA | 営業CF | 投資CF | 財務CF | 現金・現金等価物 |
フリーCF
|
2019/12 | -% | -% | -16.20% | -353 | -199 | 2,811 | 2,273 | -550 |
2020/12 | -% | -% | -69.30% | -848 | -914 | 2,500 | 3,011 | -1,762 |
同社の業績はまだ未発表ですが、フリーCFが赤字が続いていることを考えると、経営状況は厳しいと言えます。
喜べるnewsとして、2つあります。1つ目は、先般の上場により潤沢な現金が調達できたことです。2つ目は、バイデン政権の1兆ドルのインフラ投資法案の中で、EV充電設備の整備へ75憶$を投じる計画が盛り込まれることが決まり、EV市場に追い風が吹いていることです。
ただし、現状を踏まえると、これから成長を目指していく新興企業にとっていくつか課題があります。課題については後述します。
リビアンの自動車

リビアンは “消費者” と “法人” へ向けてそれぞれ自動車を展開しています。
法人用としては「RCV」と言われる車両を提供しており、こちらはAmazonから10万台を受注しています。一方、消費者向けへは上の写真のSUV 左:「R1T」、右:「R1S」を2種類展開しており、平均価格は$67,500(約700万円)と高価格帯のSUVとなります。消費者向けへは5万5,000台の受注しております。
バッテリー容量は105kwh(386㎞)、135kwh(499㎞)、180kwh(676㎞)の走行が可能です。
ビジネスモデル
リビアンは垂直統合型と言われるビジネスモデルを採用しています。
垂直統合型とは『全てのプロセスを一社で統合したビジネスモデル』です。これを自動車会社へ当てはめると、 “部品の調達” “EVの生産” “販売” “サービス” “チャージステーション” の全てを提供しています。
そのため、機密性を高めた状態で、自動車製造のノウハウが蓄積することが可能です。しかし、景気の影響を大きく受けてしまいます。
米国EVシェア

こちらのキャプチャーは2021年6月と2020年6月の『米国車種別販売台数割合』です。
“Crossover” はいわゆるSUV車で、“Pickup”はいわゆるトラックです。
リビアンの自動車はSUV系やピックアップの自動車となります。これらの自動車は米国での販売台数が多いセグメントとなります。
そのため、電気自動車の生産が軌道に乗れば、EVのフィルターを通すと、ブルーオーシャンとなります。
リビアンの今後
「政策が後押ししており、EV市場が拡大する環境が出来ている」
「SUVは販売台数が大きいセグメントだ」
この情報で、「リビアンは今後も間違いなく伸びる企業だ!」とは言い難い課題があります。
3つの課題
- 生産する上での課題
- 長期金利が上昇
- シェア争い
生産の課題
コロナ禍後の自動車企業はトヨタ、GMを始め様々な自動車企業で半導体不足による減産が伝えられています。つまり、自動車企業が受注があっても生産に問題が生じている以上、注文を受けても利益化できない問題があります。
長期金利
新興企業は、一気に成長するために大きな借金をします。これが、レバレッジとなり会社を早期に大きくすることができ、市場で安定の地位を築くことができます。しかし、借金には利子をつけて返済する必要があります。
FRBの金融政策でFFレートが2022年に上げることが予想されております。そのため、リビアンだけでなく借り入れの大きい新興企業はこれまでより、資金繰りに苦労することが予想できます。
株価についても割引現在価値が減り、理論株価が下がります。
シェア争い
現在の化石燃料を使用している自動車が寡占状態となる前には、数千社の自動車メーカがいました。BEV〔1〕市場はまだ発展途上の産業なため、中国と同様にしてこれから様々な企業が参入して、淘汰されるまで暫く時間がかかり、生き残る企業を予測するのも至難の業となります。
〔1〕:純電動自動車(Battery Electric Vehicle)エンジンを搭載しない電気自動車のこと
現在の受注について
リビアンはAmazonから10万台の受注を受けています。しかし、Amazonはリビアンへ出資をしており、リビアンの20%超の株を保有しています。株主保有割合はこちら
そのため、10万台は純粋な需要ではなく、ステークホルダーによって作られた受注となります。
また、5万5,000台についても計画に遅れが生じています。ロイターの記事はこちら
まとめ
共に学んで豊かになりましょう!それでは、また!!
関連記事
同じEVメーカで先行しているテスラについて解説しました。
米国株の強さについて解説しました。