
債券って株と反対に動くの?
リスク軽減になるの?
この疑問を解決する記事を書きました。
あなたは債券ETFを自分の資産に組み入れていますか?
債券を購入した目的は何でしょうか?
債券を資産に組み入れる目的に「リスク軽減の効果のため」と考え方もありますが、そのリスク軽減効果は
「株と正反対の動きをするから」
「株より変動率が小さいから」

でも、それって本当?

う…
この記事では、ファクトから債券が株式に逆相関(負の相関)するのか?そして、変動率を軽減させるためにどの債券ETFを購入したらよいのか?を解説します。
もし、参考になったと思われたら、友人や親戚に “SNS” や “リンク” で紹介して頂けると今後の励みになります。
金融債券は株式と逆相関なのか?

「債券は株式と正反対の動きをする」と一般的に考えられ、この関係の事を『逆相関』や『負の相関』と言われています。
しかし、過去を見ると、様々な要因から、正負の相関性が変わるという事がわかりました。
債券と株価の相関
影響度 | 相関 | 具体例 | |
経済成長 | 中 | 負 | 減速が正相関 |
利回りの変動率 | 中 | 正 | 高いと正相関 |
インフレ率 | 中 | 正 | 高いと正相関 |
FRB金融政策 | 高 | 正 | 抑制で負相関 |
FRBの金融政策は影響度が高いです。
金融政策は「インフレ率」と「失業率」が重視され、2022年からインフレ率を抑制させるよう、抑制的な政策が取られています。
インフレと株と債券
結論は、現在のようなインフレが顕著な時には、「正の相関」となる傾向があります。
この事実はこちらの散布図で直観的に理解できます。

- Y軸:相関性
(マイナスが負の相関) - X軸:インフレ率
こちらを見ると、インフレ率が3%以上となる場合は、株式の変動に合わせて債券価格が推移しています。
債券と株の関係は様々な要因がありますが、インフレ率を一つとってもユニークな関係が見えます。
2021年以降の米国物価上昇推移
こちらのチャートは直近の米国CPIです。

2021年の6月に発表された(5月実績)CPIが5%以上となり、そこから持続的なインフレとなっています。
先ほどの分布図から、現在の相関性を考えると、「正の相関」となる傾向が強いと考えられます。
言い換えると、「今後、株式が下落していく場面で、株式と同様にして債券も売られる可能性が高い」と言えます。
債券と株の逆相関の誤解
では、なぜ「負の相関」と誤報が広がったのでしょうか?先ほどの分布図をもう一度見てみます。

オレンジの点が直近の20年となり、概ね「逆相関」になるケースが多かったことがわかります。
【直近20年の相関性】
・債券の魅力減少
➡債券価格が下落
・企業の借入容易になる
・業績成長の期待が増幅
➡株価が上昇
(※株式の考え方は複雑)
実体験した経験が印象深く、誤解が生じたものと考えられます。
コロナショック時の株式との相関

中央銀行(FRB)の政策金利と株式・債券は密接な関係があります。〔1〕
〔1〕FRBが決める政策金利をベースにして、債券の利率が決定するため、金利は重要
ここでは、過去に起きたコロナショックで、FRBはどう動いたのか?
そして、暴落時の株価と債券の相関について確認します。
FRBの対応
- 2020.2.28FRBの緊急会見
パウエル議長より、「景気の下支えにFRBは適切に行動する」と表明
- 3.2大統領がFRBへ不満
「パウエルとFRBの行動が遅い」と非難
- 3.3FRBの緊急会合
0.5%の利下げ実施
(1.00~1.25%) - 3.15FRBの緊急会合(2回目)
1.0%の利下げ実施
(0.00~0.25%)
同時に量的緩和も実施
2度の緊急会合が開かれ、これまでのものと別次元の「金利の引き下げ」と「量的緩和の実施」が短期間で実施されました。
暴落時の『債券と株式』
こちらは、債券と株式(米国株式指数)のチャートになります。

・2:3/3(FRB-0.5%利下げ
・3:3/15(FRB-1.0%利下げ
・黄 :総合債券ETF
・水色:短期債券ETF
・青 :米国株式指数(S&P500)
・黒 :FFレート(政策金利)
次に、「底日」「下落幅」を見てみましょう。
FRBイベントと変動率
期間 | 2.28~3.3 | 3.3~3.16 | 3.16~3.18 | 3.16~3.23 |
S&P500 | 1.66% | △20.55% | 0.5% | △6.23% |
長期債券 | 0.66% | 4.85% | △11.93% | 1.28% |
総合債券 | 0.44% | △2.57% | △6.3% | △0.96% |
備考 | 声明 | 利下げ | 債券底 | 株底 |
FRBの会見から株価は持ち直すも、そこから20%下落し、たまらず、FRBによる追加の利下げが実施されました。
利下げの実施決定から、債券価格が先に下落し3.18に底を付けます。その1週間後に株式が底を付けるころには債券価格は回復しています。
暴落時の相関性
実際に暴落時は、株式と相関して下がる傾向がありました。これは、人が抱く損失回避の感情から価格の下落に拍車がかかったものと理解できます。
短期で大きな利下げにより、大きな恐怖が起きた市場では、全ての金融商品が安くなります。
コロナショック時の回復期間
コロナショックの直近高値からの回復期間を表します。
3/9の高値を掴んだとしても、長期債券は1ヶ月半待つと、価格は回復します。
暴落時には、株より債券の方が価格が下がりにくい結果となりました。
債券より分散に適した金?

「米ドル」や「経済」が弱い時に金が購入される傾向があります。
では、コロナショック時にどんな値動きだったのでしょうか見てみましょう
暴落時の『金と株価』
『金』のチャートは長期債券と総合債券の間の値動きとなります。
暴落時には、金も例外なく下落しました。
金への投資

金はコモディティ(商品)と言われ、価値の増加に期待する投資手法となります。

価値の増加?

需要が増えると価値が増えます
”天然ガス”を例にすると、暖房需要が期待できる冬季に上昇しやすい傾向があります。このように需要が増加すると価格が上昇します。
このようなコモディティは株や債券と相関がありません。〔1〕
〔1〕相関が全くないことを「非相関」といいます。
金を組み入れるメリット

非相関の投資対象を購入する理由は、変動率を低下させて、リターンを追求する事が出来るところです。
こちらの記事で、「非相関」の資産を組み入れる事が結果としてリターン向上した例を紹介しています。
コモディティも含め分散投資を行えば、暴落時においても2桁のリターンが見込めます。
こちらはリーマンショック時に2桁リターンを実現したヘッジファンド創設者が提案した、「黄金のポートフォリオ」について解説しています。
まとめ
今回、コロナショック時の債券価格について解説させていただきました。

リーマンショックじゃないの?

その理由は2つあります
・当時より債務比率が上昇

債務が増え続けると「大きな金融ショック」が起こりそう
大きな金融ショックが起きたら、FRBはコロナショック時と同等な対応を取る可能性が極めて大きいと考えているからです。
私たちが将来に備えて取るべき手法は、短期での暴落局面となります。
幸いコロナショック時は市場が短期に持ち直しましたが、次に暴落が来る時には1年半低迷する可能性も秘めています。
そんな時に、「債券」という武器を手に入れると、株式市場暴落時に信用取引でなく、現物で対応することが可能です。
まだ見えぬ、先の暴落時に資産防衛の備えとなる記事になれば幸いです。
記事が、タメになったと思われたら、“SNS” や “リンク” で紹介して頂けると今後の励みになります。
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