疑問がある方のために、記事を書きました。

日本で石油備蓄の放出が決定され今後どうなるのか?という疑問をお持ちの方のために記事を書きました。
2021.11.24に日本政府が石油備蓄放出の決定を発表しました。これは、日本だけでなく、他国でも決定しております。
これを受けて、インフレ対策のために、エネルギーETFである『VDE』や『EXI』はたまた、レバレッジ3倍のETFである『ERY』を購入している方は、先行きが不安ではないでしょうか?
今回の記事は、各国の石油備蓄放出が、原油市場に与える影響について推察してみました。
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放出される『石油備蓄量』
そもそも、なぜ石油の備蓄が放出されるのかというと、簡単に言うと、価格上昇を抑えたい、バイデン政権側からの要請があったからです。
日本の備蓄量と放出量
<今年9月末時点での備蓄量>
種別 | 保有量 (消費量の日数) |
要件 |
国家備蓄 | 145日 |
国家の備蓄
|
民間備蓄 | 90日 |
民間の石油会社に義務付ける備蓄
|
産油国共同備蓄 | 6日 |
産油国と協力する備蓄
|
日本の備蓄量は3種類あります。放出する要件は法律で定められており、例えば “中東情勢の悪化” や “災害時” におけるガソリンなどの供給不足のおそれがある際に限られています。2011年に “リビアの情勢悪化時” や “東日本大震災時” に放出されました。
今回はその中で、今回の放出は『米国からの要請』つまり、バイデン政権のために行う放出となりますので、法律上放出する事ができません。
そこで、エネルギー庁は石油の売却時期を前倒しにする方法を考え出しました。
米国に協調する他国
日本は米国の要請を受けて、放出を決定しました。これは日本だけが行っているのではなく、イギリスや韓国、だけでなく米国を含め6ヶ国が協力しています。
協調した放出量
国 | 放出量 |
米国 | 5,000万バレル |
中国・韓国 | 930万バレル |
インド | 500万バレル |
日本 | 420万バレル |
イギリス | 150万バレル |
この表の合計放出量は7,000万 バレル(70 Mil)となります。では、世界が使用する一日当たりの使用量を見てみましょう。
石油市場のパワーバランス
このキャプチャーは左が地域別の『生産地域』、右が地域別の『消費国』となります。
<一日当たりの石油消費量>

消費年 | 消費量(Mil バレル/日) |
2016 | 94.381 |
2017 | 96.099 |
2018 | 97.265 |
2019 | 97.598 |
2020 | 88.477 |
これをみると、2020年で1日に約90 Mil バレルを使用する中で、今回協調に至った約70Mil バレルは総計となりますので、石油備蓄を放出しても、価格に与えるインパクトが小さすぎます。
そのことから、バイデン政権は米国内のインフレが加速しているため、国民向けのアピール向けの政策を行っているとしか思えません。
今後の原油への影響
先述した、石油市場の規模から、今回6ヵ国で行われる、備蓄放出量の規模はとても小さな量と言う事がわかります。
そのため、石油の備蓄放出が石油価格の減価に繋がりません。
実際に公表がされてから、WITのチャートは放出量の少なさから価格を上昇させています。

価格が変わる時
実際に価格が変化する時は、OPECの会合で増産が決定した時となります。仮に増産される一つのケースを想像すると、米国シェールオイルの採掘コストと販売価格が割に合うため、米国がシェールオイルを増産します。すると、生産される石油量の総量が増え、OPECの石油が売れにくなる、そのため、増産に踏み切る。というような事が無い限り、難しいと考えています。
OPECプラスの中でも石油生産力の高い、2ヶ国(サウジアラビアとロシア)が世界各国の石油備蓄の放出に呼応して、原油増産の一時停止を視野に協議していることが報じられています。
ブルームバーグの情報はこちら
OPECプラスが増産を止めると、原油価格に直接影響します。
この、『増産』『減産』を決めるOPECプラス〔1〕の会合が12/2に行われます。OPECプラスの閣僚協議に注目です。
〔1〕:OPEC〔2〕にロシアやメキシコなどOPEC非加盟の11か国(現在10ヶ国)が加わった組織のことで、2016年に設立されました。
〔2〕:(Organization of the Petroleum Exporting Countries)の略で、石油輸出国機構(オペック)と呼ばれ、1960年にサウジアラビアやイラクなどアラブ諸国が中心となって設立されたました。
まとめ
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共に学んで豊かになりましょう!それでは、また!!
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