こんな悩みがある方のために、記事を書きました。

ダリオ氏の「黄金のポートフォリオ」の債券、商品ってポートフォリオに組み入れるか悩んでいる方のために、FRB量的緩和終了後の「黄金のポートフォリオ」について考察しました。
世界一有名なヘッジファンドを創設したレイダリオの「黄金のポートフォリオ」にやや疑問を抱いた”ぜんきち”です。
前回の記事で、リーマンショック時でさえも+3.2%も上昇したポートフォリオ(以下PF)として、ダリオ氏の黄金のポートフォリオを紹介しました。
オール・シーズンズ戦略
「レイ・ダリオの黄金のポートフォリオ」について

こちらのPFは、株式比率が低く(30%)、債権比率が高い(55%)。そして、最大の特徴があるのがリスクの最小化を図るために、コモディティ(15%)として金・商品を含んでいます。
4%ルールを疑うような、高い債権比率。そして、一般的になじみが無いコモディティへの投資に対して、疑念を抱いてしまいます。
なぜなら、コモディティ特に商品は、ここ10年のパフォーマンスが悪かったからです。
将来版PFについて
タイトルにある“将来版オールシーズンズ戦略”ですが、何を指して将来とするか、定義が重要です。
ここでは、”将来”を「FRB量的緩和終了後であり、債券価格が市場が決める適正値に戻った」時点としています。
現在(FRB量的緩和中)の債券価格が高騰している事を考えると、債権比率が高くなる『黄金のポートフォリオ』をこれから組もうとすると、リターンがマイナスとなる可能性が高いです。
これは、ダリオ氏も認めています。
それを踏まえ、将来版の『黄金のポートフォリオ』
私が出した結論は
レイダリオの黄金のポートフォリオと変わりません。
もし手を加えるとしたら、金の比率を少し増やし、その分債権を削る程度の修正となります。
今回は、なぜそのような結論に至ったかを
1.債権は株と逆相関にあるのか?
2.現時点で債権比率を高めても良いのか?
3.コモディティのアセットについて考える
以上3つに分けて考察をしましたので解説します。
債券は株と逆相関にあるのか?
黄金のポートフォリオにおいて、債権比率は長期債券40%、中期債券15%の合計55%も占めています。
中でも、”短期債券”ではなく“長期債券”の比率が40%と比率トップなのは、2つの狙いがあると、推測できます。
1つ目は株式が下落時のヘッジ
2つ目は安定した利回りを得るため
株が下落した際にも、資産の上昇を狙うのが”黄金のポートフォリオ”なため、株が下落時に逆相関とされる債権を所有し、さらに利回りを稼ぐ手立てとして、長期債券の割合が大部分を占めているのだと推測できます。
本当に債権が株と逆相関したのかを、コロナ時の動きで確認します。
コロナ時のチャート
コロナ時の動きだけではバックテスト期間に問題がありそうだと思いますが、過去にさかのぼると、現代と大きく異なることがあり、逆に適切でなくなると思っております。
その根拠は、FRBの金融政策が過去と異なる点です。FRBが初めて量的緩和を行ったのがリーマンショック時でした。しかしながら、当時は量的緩和が初めてだったこともあり、導入までに時間を有してしまいました。その結果、皆さんがご存じなような株価の低迷が長引きました。
今回のコロナでは、FOMCも開催時期を早め、直ちに“量的緩和”を実行となりました。今回の成功体験があるため、今後もそのような対策が取られると考えれます。
以上の理由から、過去を遡っても将来と同じ動きとなると思えないため、コロナ時のみで想定しています。
過去の動きを想定しなければいけない場面があるとしたら…量的緩和中の暴落となります。

株と同じく、一時的に暴落しています。しかし、急遽FOMCが開催され、量的緩和策が発動され、目標金利が0%となったことで債券価格が、大きく上昇しています。
暴落直後はパニックにならないように注意が必要ですが、しばらくすると価格が一気に上昇します。
他のアセットでの代用は?
債権の他にも、暴落時に強い資産があります。それは『ゴールド』です。この金のチャートを表示させたものがこちらです。

チャートを見ると、株や債権と同様にして下落します。”ゴールド”が優れているのは7月~11月を見ると理解できます。
7月~11月は株が乱高下し、債権は右肩下がりとなっております。しかし、”ゴールド”については一番リターンが大きいです。
結論
“ゴールド”も債権と同様にして暴落時の耐性が強いことが分かりました。
しかし、債権より劣っているところもあります。それは、金を所有していても金利や配当が生まれないところです。
その分価格の上昇があれば良いですが、ヨコヨコ相場や下落が続くと、精神的に苦しくなり握力が弱まってしまいます。
これから債権比率を高めても良いのか?
今から”黄金のポートフォリオ”を作る方が考えているだろう、債券価格が高い今債権を比率通り買い進めていいのか??という疑問について考えてみましょう。
今すぐに債権比率を高める
これは冒頭にも解説したように、私の答えはNoです。
理由としては、 現在(FRB量的緩和中)の債券価格が高騰している事を考えると、債権比率が高くなる『黄金のポートフォリオ』をこれから組もうとすると、リターンがマイナスとなる可能性が高いです。
将来債権比率を高める
では、『FRB量的緩和終了後でかつ、債券価格が市場が決める適正値に戻った』と判断した場合に債権比率を高めて良いか?と疑問が出てきます。
これに対しては、“黄金のポートフォリオ”通りに株を30%購入するのであれば、PF通り債権を同じ比率で購入しても良いと考えています。
あくまで想像の域を出ませんが、将来においても世界のマネーストックが多い状況が続くことが想像できるため、安全資産と見られる債権は決して安いレベルまで下がらないと思います。
しかしながら、どの状況においても、全天候型の資産形成する必要があり、”黄金のポートフォリオ”を組むのであれば、その時点での購入はありだと思います。
では、なぜ債権が高く、中長期的に下がっていくと予想しているのに、「株を30%保有するのに合わせて債権を所有しても良いのか」について述べます。
答えは簡単です、ダリオ氏の言う「株は債権の3倍変動がある」という事。そしてリバランス時に少しづつ最適化されるからです。
例えば、購入時に株より債権が高くなっており、1年後に債権が購入時より10%下がり、株は10%上がったとします。すると、比率の差が8.5%の差が生じます。その差をリバランスすると債権を購入する必要が出てきます。すると、債権は前回購入時より安く購入することができるから、長期的に見ると所有する債権価格は適正値へ帰還すると考えられます。
別の手段として、債権高掴みを避ける方法は債権の比率を下げて、”ゴールド”の比率を上げる手法もありだと考えています。
コモディティのアセットについて考える
他のブログでもダリオの個人投資家へ進めるPFを紹介してますが、よく議論されていることは『コモディティ』についてです。なかでも商品へ対する敬遠度が高いと感じました。
皆さんが商品をポートフォリオから“外す”一番の要因は、過去10年のリターンがマイナスという事があるからです。
しかし、私の考えは真逆で、商品はこれから所有していくべきだと考えています。
なぜなら、現在、商品は株に比べて割安であり、人口増加とともに、商品の農業製品が注目されると予想できる。そして、今現在、10年前と比べて世界のマネーストックが膨張しており、今後もこの傾向が続いていくと予想し、インフレが進むと考えているからです。
確かに、過去10年においてはパフォーマンスが優れていませんでした。しかし、この分析には欠点があります。
それは、過去10年しか検証していないことや過去よりマネーサプライの膨張が大きくなっていることです。今後、超長期的な視点で見ると、コモディティとりわけ『金』が古代から続く安全資産とされ大きく投資マネーが流入すると考えています。
以上の理由から、“商品”は今後PFに組み入れるべきではないかと考えています。
ただし、商品は多種ありますので、今度解説する記事を書きたいと思います。
まとめ
次回、コモディティについての記事も記載します。
それでは、また!!
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