こんな疑問がある方のために、記事を書きました。

恒大集団が中国経済に与える影響ってどれだけ?と疑問がある方へ向けて記事を書きました。
昨年から、中国不動産業界で不穏な気配があります。
それは、中国不動産企業トップの『恒大集団』がデフォルトの可能性が示唆されており、この先半年から1年の間でデフォルトが起こると言われています。
恒大集団について全てを記載すると文字数が大きくなるため2つの記事にわけて解説しており、2つめの記事となります。
今回の記事では
1.現在の借金額
2.リーマンショックとの比較
3.投資家が注目
この3つに分けて解説します。恒大集団とは
現在の株は2009年の新規公開株価4HKドルを下回り、2017年につけた最高値31.6HKドルから90%以上の暴落となります。
現在の借金額
『黒色』がドル建ての債権となります。『ピンク』が人民元建て債権です。

日付 | 外貨建て債権($ Mil) | 人民元建債権($ Mil) |
2021.9 | 128.7 | 35.7 |
2021.10 | 148.1 | 18.8 |
2021.11 | 82.5 | 0 |
2021.12 | 255.2 | 0 |
2022.1 | 352.5 | 48.4 |
このグラフによると、今年の9月に$128.7 Milの外貨建ての債券が支払い期限を迎えます。
もし仮に、ベイルアウト〔1〕があったと仮定すると、人民元建て債券はクリアできます。しかし、同社の場合は外貨建ての社債が70%に当たるため、一筋縄ではいきません。
9月23日に支払期限だった、人民元建ての社債については利払いが出来たと発表されました。やはり、外貨建て債権に関しては利払いがない状態となっております。
〔1〕:政府が公的資金を用いた救済
デフォルトへ
債権の利払いが行われないと、直ちに「デフォルト」となるのかというと、そうではありません。
クーポン(利払い)の支払期日を超えてから、最大で30日間の猶予が与えられます。
9.23に支払われるべきクーポンは $83 Milあり、これを支払う事ができたとしても、10月に$148.1 Mil 12月には$255.2 Milの返済が必要になるため、デフォルトが起きるのも時間の問題と言えます。
リーマンショックとの比較
2008年の米国投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻があってから、13年たった今、恒大集団は同じ影響を及ぼすのか考えてみたい。
事業の違い
リーマン・ブラザーズは『投資銀行』であったのに対し、恒大集団は『不動産業』であり、利益を生み出す仕組みが違います。不動産業は資産を所有しており、その資産に付加価値を付けて売る商売です。
恒大集団の場合、所有する資産を売却して、ある程度お金を生むことができるため、リーマン・ブラザーズとは状況が異なります。
政府による救済
2008年には、世論の圧力もあり、米国政府がリーマン・ブラザーズは救済しませんでしたが、他の金融機関を救済しました。
自由主義をうたうアメリカでさえ救済しています。
中国の場合、他国と比べて企業への関与レベルは一段高いレベルにあります。そのため、中国政府が全く動かない姿は想像しにくい。
しかし、以前の中国政府であれば、既に対応している状態にありますが、なぜ対応していないのでしょう?
答えは、習近平氏が掲げた『共同富裕』にあります。『共同富裕』とは格差是正の政策です。恒大集団の債権者は “富裕層” か “大企業” です。
つまり、恒大集団を救済することは、富裕層を優遇することと同じことになるからです。
投資家が注目
リーマンショックの原因となった、サブプライムローンは、基となる債権が20倍に膨れ上がる、デリバティブ商品が世界中に広がっていました。
しかし、恒大集団の場合は関連企業を含む企業へ限定〔2〕されるため、1倍の債券では影響が限定的であるとみられています。
〔2〕:ドル建ての債券は米国の銀行が所有($1,300 Mil)外貨建ての債券の7%
では、世界投資家が現在注目しているのは何かというと、FRBの利上げです。
先日のFRBの会見では、「2022年半ばにテーパリングは終了する」との発言がありました。
これは、とても大きなニュースです。
前回の2014から始まったテーパリングが終了するまでに約10ヶ月ありましたが、今回は6ヶ月とかなり早いことがわかります。
パウエル議長の会見では、「利上げとテーパリングは別」と発言があったため、市場の動揺はありませんでした。
利上げや金融引き締めが始まれば、今までとベクトルの向きが逆になります。そうすると、これまでの市場とまったく異なり小さなニュースが市場の動揺を起こす市場に変化します。
まとめ
- 外貨建ての債務残高が大きいため破綻は避けられない
- 恒大集団の影響は世界経済には限定的と予想できる
- 世界の注目はFRBの利上げ時期へ移った。
それでは、また!!
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