こんな疑問を持っている方へ記事を書きました。

割引率(ディスカウントレート)ってなに?という方のために記事を書きました。
PER = 1 /(r-g)
r…割引率(ディスカウントレート)
g…成長率
PERの計算式の中で、割引率(ディスカウントレート)という用語が出てきます。
FP(ファイナンシャル プランナー)やMBAを習得の方はご存じかと思いますが、一般人にはあまり馴染みのない用語です。
この記事では、“割引率”と“割引現在価値”について記載します。
この関係を知ることで、長期金利と株価の関係について理解が出来ますので、是非見ていってください。
割引現在価値とは?
割引現在価値( discounted present value)または現在価値( present value, PV)や、正味現在価値( net present value, NPV)は、将来に受け取れる価値が、もし現在受け取れるとしたらどの程度の価値になるかを表したものです。
割引現在価値(PV:現在価値)
<割引現在価値の具体例>
利率が10%のとき、1年後の110万円の割引現在価値は91万円となる。
先ず結論を申し上げますと、将来受け取ることができるお金を現在の価値に換算するといくらになるか?というものです。
現時点を基準として考えるのではなく、
数年後を基準として、現在の価値を算出します。
PV = C ÷ (1+r)^n
PV:現在価値
C:毎年の予測CF
r:割引率
n:年数
※CF…キャッシュフロー
計算式だけだと、わかりにくいので
複利効果を認識しやすい
“将来価値”の解説を交えて
“割引現在価値”の具体例を解説します。
将来価値の具体例
“将来価値”とは、現在価値を元に期待利回りから得られる価値のことです。
計算式で表したものが下になります。
FV = PV ×(1+R)^ n
PV:現在価値
FV:将来価値
R:収益率
n:年数
100万円を利回り5%で5年間運用すると。計算式はこのようになります。
FV = 100 ×(1+0.05)^5
<1年目>
100 × 1.05 = 105万円
<2年目>
100 × 1.05^2 ≒ 110.3万円
<3年目>
100 × 1.05^3 ≒ 115.8万円
<4年目>
100 × 1.05^4 ≒ 121.6万円
<5年目>
100 × 1.05^5 ≒ 127.6万円
100万円に対して、複利5%で5年間運用するため、
5%の利益に対しても、5%の利益が加算される
複利効果が効いています。
ちなみに、10年間を年利5%で運用を続けると約163万円になります。複利の凄さを感じます。
割引現在価値の具体例
次に、基準を将来に置き換えて、現在の価値を計算します。
PV = C ÷ (1+r)^n
PV:現在価値
C:毎年の予測CF
r:割引率
n:年数
※CF…キャッシュフロー
5年後の100万円を割引率(利回り)5%で計算式に当てはめると、こちらになります。
PV = 100 ÷ (1+0.05)^5
<1年後に100万円>
100 ÷ 1.05 = 95.2万円
<2年後に100万円>
100 ÷ 1.05 ^2= 90.7万円
<3年後に100万円>
100 ÷ 1.05 ^3= 86.4万円
<4年後に100万円>
100 ÷ 1.05 ^4= 82.3万円
<5年後に100万円>
100 ÷ 1.05 ^5= 78.4万円
5年後の100万円に対して、現在の価値は78万円となります。
ちなみに、10年後となると、 約61.4万円 となるため
複利が反比例になってしまうと逓減が大きくなります。
実際にこの考え方は、M&A等の企業価値評価をインカムアプローチで行う時に用いられます。
わかりやすく個人でのお金の貸与ですと、現在100万円を貸与して、5年後に100万円を返してもらっても、現在の価値では約78.4万円相当額しか返っていないと考えれます。
そのため、5年後全額返済の場合ですと返済金額が128万円を満たないと、貸し手の損失と言えそうです。
割引率とは?
現在価値に割り引く率のことで、ディスカウントレートとも言われます。
先にあげた”割引現在価値”の利率のこと。言い換えれば、期待できる利回りのことです。
<割引率の具体例>
利率が10%のとき、1年後の110万円の割引現在価値は91万円となる。
この時の利率である10%を指します。
株式の割引率では、10年国債の利回りがよく使われます。
2021年日本国債の10年における年利回りは0.01%ですので、割引率がとても低い状態です。
株価と金利の関係
低金利になった時は、企業にとって利点が3つあります。
1つめは、借金の返済負担が減る。
2つめは、PERが大きくなる。
3つめは、債権への利回りより魅力が上がる。
特に利益を投資CFに廻すような、黒字化していない
グロース銘柄に関係するのは“2つめ”のPERに関係する所です。
先にも言ったように、割引率は10年国債の利回りが使われます。
そのため、国の金利が上がれば、割引率が上がるという事です。
ここで、割引率 と 株価を再度確認しましょう。
<簡略式>
PER = 1 /r
r…割引率(ディスカウントレート)
<株価と割引率>
株価 = EPS ✖ 1 /r
rが大きい…株価小
rが小さい…株価大
「EPS×1/r」の計算結果から株価は求められますので、高PER株は金利上昇により株価は低迷しやすいです。
まとめ
低金利になると、株価は上昇し
逆に、金利が上がると株価は下落することが
計算式から導き出されます。
解説した“割引現在価値”を含めて、バリュー投資について詳しく解説されていますので、より詳しく学びたい方はこちらを参考にしてください。
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EBITDAマルチプルをつかった理論株価の求め方の解説をしています。
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