こんな不安がある方のために、記事を書きました。

円安が今後どれくらい進むのか心配な方へ向けて記事を書きました。
昨年からこれまで、”円”が安く”ドル”が徐々に高くなる方向に動いていた為替が、FRBの利上げと同時に一気に円安となり、約6年ぶりとなる122円を超えました。
約6~7年前となる2014年後半から2015年末までには、125.5円と一時126円に迫りました。今回の円安は1990年代の水準に達するのでは?という憶測が出てきています
今回の記事は、過去の円安を振り返り、今後の見通しを記載します。
記事が、タメになったと思われたら、“SNS” や “リンク” で紹介して頂けると今後の励みになります。
為替はこう動く”円安と円高”
『円安』と『円高』はどちらも外国の通貨と比較して表されています。ここでは米ドルとの比較で考えます。
為替の動きも、“需要”と“供給”によって動きます。具体例を上げると、海外旅行でドルへ両替を行うと、円を売ってドルを買う事になりますので円安に動きます。
【中長期】
・経済活動によるもの:貿易、投資
・物価:インフレ、デフレ
【短中期】
・金融政策:各国の金利差、為替介入
円安に動く
海外から様々な物を輸入すると、日本円を売りドルを買い、それで支払う事になります。これが先述した、旅行の場合と同じ円安へ影響します。
こちらは、2020年までの貿易収支と輸入品目です。


円安に動くと、輸入に頼っている製品が影響を受けます。生活に密接に関係するものとして『食料品』が値上がりします。参考~食料自給率
2020年の貿易収支が最新となり、東日本大震災やコロナショックの影響を受けた年には赤字へ触れるため、円高が優利となります。
至近年では輸出入が拮抗しておりますが、1980年から2000年代の20年にも続く貿易黒字の印象が強く記憶に残っているため、輸出の金額が多い日本は『円安』が優利と誤認されています。
震災での円高
東日本大震災が起きた2011年には、一時76円台前半となる円高になりました。これは、日本の保険会社が海外資産を売却をして、保険金を支払うと観測が出たため、海外ファンドが円買いを行ったからと言われています。
実際には、保険会社による海外資産が売られる事はありませんでしたが、投資家による取引でも為替が大きく変動しました。
一般的には国家の危機となるほどの大災害が起きたら、経済に多大な影響を及ぼすことから、通貨安が起きます。しかし、対外純資産額世界一位の日本に限り起きた稀有な事例でした。
為替相場の勘違い

各情報誌で為替を動かしているのは投機筋とされています。しかし、実態では実需の影響が多く、平時において、投機筋の影響は限定的です。
ではなぜ、そのような勘違いが起きてしまったのでしょうか?
その答えは、出来高における実需の割合が少ないからです。分かりやすく書きますと、スポット〔1〕が$2 Tri で全体の取引が$14 Tri となり、割合で言うとスポットが(約14%)しかありません。残りの86%は不明となり、これが機関投資家取引という誤解が生まれしまいます。
この86%はスワップ取引となり、このスワップも為替取引として計上されるため、大きくなります。
〔1〕:スポットとは直物取引といわれ、約定日から受渡までの期間が2営業日以内の取引を指しています。
このスワップ取引も、蓋を開ければこれほど大きな金額が動いていません。
為替取引の現場では、為替取引は決済日を延長したり、前倒しする取引があります。例えば1年間決済日を先延ばしすると、実際に取引が行われていませんが、取引の出来高が2倍となります。
その後、実際の取引が行われると、出来高3に対して、スワップ2:スポット1となり、この例だけでもスワップが大きくなることとなり、この実態の無い出来高が、得体の知れない投機筋と言われています。
実際には、決済日は何度も繰り返されて延長されるため、出来高に対して実際に売買される額が極僅かという、実際の数値が歪曲されて表れています。
過去のドル円推移
tradingviewの『USDJPY』で表示される1993.5から現在(2022.3.28)までの約30年平均レートは約107.9円となります。

至近1年間の平均レートは約113.1円となります。ここ2週間で一気に円安が急伸しました。

『ドル転』のヒント
投資を行う大前提として、生活防衛資金とは別の『余裕資金』で行われるものです。そのため、外貨で資産形成をしていくなか、短期中期的な為替変動が起きたとしても円転する必要がありませんから、為替相場のことが気にならなくなっていきます。
とはいえ、ここ数週間の円安は極端に進んでいると言えます。日本と米国は2国とも成熟した国なので、新興国のように為替が安定しない事はありません。つまり、平均に回帰すると見たとしても、全くの見当違いということはないでしょう。
今後の見通し
今後の日本円を考える中で『円』の実力について考える必要があります。
『円』が本当に安くなっているのかは、対ドルだけを見て判断できません。
ではどの様にして見るのかと言うと、円インデックス(実行為替レート)〔2〕を見れはドルだけでなく、世界で取引されている主要通貨に対する日本円の総合価値を測ることが可能です。
〔2〕:実効為替レートは、世界の主要通貨と日本円との間の2通貨間為替レートを、貿易額等で計った相対的な重要度でウエイト付けして集計・算出したレートです。
実効為替レート

こちらは1990年から2022年までの実効為替レートとなります。1985年から1990年まではプラザ合意でドル安への政治的な動きがあるため、表記していません。
これを見る限り1990年以降は一貫して円安基調が続いています。
至近の実効為替レート
円インデックスのリアルタイムチャートはtradingviewで見ることができます。
ティッカーは『JXY』でこちらが6ヶ月のチャートです。

このチャートと米ドルインデックスである『DXY』を見比べると、ドルが強い訳ではなく、円が弱いと確認できます。

2022年の円安要因
現在の円安は主に投資目的によるものと、推定できます。その理由は、日本の金融緩和と世界の金融引き締めという、180度の金融政策の違いから円売りと言う流れが起きているからです。
政策の違いで円を持っていても資産が増えないため、利回りの高い国へ通貨を替えると資産が増えます。
コロナショック時にはどこの国も金融緩和が行われていたため、円売りの流れは起きませんでしたが、FRBやECBが利上げを行い始めてから、円売りが起きています。
今後、日本と他国の金利差が開いていく事が見えていますので、この基調は続いていくと推察できます。
日本が金融緩和を続けている限りこの流れが続きますので、日銀が金融引き締めに転換する時や米国が金融緩和へ変更するタイミングが円高へ転換するトリガーとなりそうです。
所感

大きな流れとして、中国やインドをはじめとする新興国の影響が強くなり、アジアの経済大国としての日本の存在感が薄れていくこと。
そして、短期的にも世界の金融政策と日本の政策が真逆で今後、金利差が開いていく可能性が高いことから、円が弱くなっていくのが見えています。
しかし、現在の行き過ぎた『円安』とウクライナ戦争の激化し世界大戦に現実味が帯びると、対外資産が多く安全とされている『円』が一時的に購入される局面が起きることも十分考えれますす。
まとめ
記事が、タメになったと思われたら、“SNS” や “リンク” で紹介して頂けると今後の励みになります。
共に学んで豊かになりましょう!それでは、また!!
関連記事
日本の投資家が海外の資産を保有する時には、”株”のリスクと”為替”のリスクを考える必要があります。
暴落時に為替がどう動いたか振り返っています。
米国株のパフォーマンスについて解説しています。
シーゲル氏が200年間のアセットを比較して最適な投資先を株式としました。
超長期投資を阻む”感情”と超長期が優れている”見識”について解説しました。