こんな悩みがある方のために、記事を書きました。

引退後に、資産が無くなるのが心配…
そんな方のために、インデックス投資を取り崩す方法に関する記事を書きました。
“定額取り崩し” “定率取り崩し” の2つの4%ルールがあります。
- 4%ルールには定額と定率の2つがある。
- 定額取り崩し=トリニティ・スタディ
- 定率取り崩し=ウォール街のランダム・ウォーカー
どちらについても、築いた資産(stock)を取り崩して(flow)できる限り資産を減らさないといった考えはかわりません。
今回は“定額取り崩し”を紹介します。
定額での取り崩しは 退職時の資産×4%=取り崩し額 の定額で取崩し続ける方法となります。
他の4%ルールはこちらから
定額取り崩し=トリニティ・スタディ
【定額取り崩しメリット】
・寿命がくるまでに資産額を使いきれる。
・取り崩し額が分かりやすい。
・証券会社で定期自動売却サービスがある。
【定額取り崩しデメリット】
・暴落時に資産額が大きく減る。
・資産が枯渇する可能性が僅かにある。
定額・定率自動売却 対応証券一覧
定額:自動売却 | 定率:自動売却 | |
楽天証券 | ○ | ○ |
SBI証券 | ○ | × |
マネックス証券 | × | × |
定額取り崩しについて
65歳で引退時の資産額 3,000万円
- 1年目の取り崩し額:3,000万円✕4%=120万円
- 2年目の取り崩し額:3,000万円✕4%=120万円
- 以降の取り崩しも同様
このままいくと、25年で資産が0円になってしまいます。
しかし、1998年にアメリカのトリニティ大学の教授3人が運用しながら取り崩すと資産額が0%にならないという研究結果を出しました。
研究内容
それから、数年経過して、Updating the trinity Studyにて2014年までの研究結果が発表されていました。
債権が変更されましたが、結果は過去のものとほぼ変化がありませんでした。

対象期間:
1926年から2014年(89年間)
ポートフォリオ:
stocks 株式(S&P500)
bond 債権(高格付け米国債)

「算出年数が40年までしかないやんか
できれば、もっと早く引退したいなぁ~」
そういう方のために、長期のデータも添付します。
こちらを作成した方は、アメリカの中央銀行でも働いた経歴をもっている方のデータです。
期間は1871年~2015年(145年)で、トリニティスタディで使用されているのとほぼ同じ構成で算出された表です。

この表から読み取れる結論は
長期間資産を長生きさせるためには、株式比率を高く取る必要があり、4%の定額取り崩しでは50年間という長期では、100人いると12人資産が枯渇する結果となりました。
この結果から、
・取り崩し率の変更を検討する。
・株式の割合の変更を検討する。
必要があります。
以下の表は最低90%超の確率で元本が残るプランです。
100歳まで生きると仮定した場合
- 引退 40歳
取り崩し3.75% ➡株式75% 成功率92%
取り崩し4.00% ➡株式100% 成功率94% - 引退 50歳
取り崩し3.75% ➡株式75% 成功率94%
取り崩し4.00% ➡株式100% 成功率90%
私たち日本在住者が、トリニティスタディの研究結果を利用するには注意点があります。
トリニティスタディの欠陥
- 米国ベースのため為替リスクが生じる
- インフレ率が考慮されていない
- 手数料と税金が考えられていない
為替リスクとインフレ率
為替リスク
投資対象は、債権は日本国債で、株式は日経平均でいいのか?
日本はこの研究の対象でないと考えています。
では、どこに投資すれば良いのかというと、
研究に使用したようなリターンをもたらす金融商品であれば、どこでも良くなります。
具体的に表現すると、過去のアメリカのような成長をしていく株式であればOK。
それが、全世界、アメリカあるいは中国かもしれません。
どこでも良いなら、日本はなぜだめなのか?
皆さんがご存じのように、日本は超高齢化社会で人口減少しています。
アメリカは人口が各世代同じ水準で人口が超長期にわたり安定しています。
私は、日本よりアメリカの方が成長する可能性が高いと考えています。
株式:S&P500(VOO,SPY)全米(VTI)全世界(VT)
債権:米国総合債(BND,AGG)
国外への株式投資に一つ問題があるとしたら、
国外に投資を行う際に円転する必要があり、コスト(両替手数料)が発生します。
このコストは、円建てで外国株投資ファンドへ投資信託購入する際も、必ず発生します。
(外国株式投資ファンドが実際に購入する際にドルなどの外貨で買付しているため)
インフレ率
そして、研究にはインフレ率を考慮しておらず、譲渡益に発生する税金も考えられていません。

日本は長期に渡るデフレで物価上昇はわずかです。
一方のアメリカは緩やかに物価が上昇しており、これまでを振り返るとFRBの金融政策が有効に機能して、インフレ率の調整することができております。
そのため、持続的な2%の物価上昇目標をコミットしてくると考えられます。
すると、物価上昇が進むアメリカ(ドルが安くなる)という事になるため、アメリカで商品やサービスを受けるのに、予定以上の出費となります。
そうすると、当初予定していた取り崩し率では生活費が賄えなくなる可能性があります。
手数料と譲渡税
取引手数料や信託報酬については、手数料0.1%以下のため、無視してもいいレベルと思います。
しかし、譲渡税は無視できません。
現行の譲渡税は20.315%(内0.315%は復興税)も発生します。
例えば、1,000$(約10万円)の利益が発生すると、203.15$(約20,315円)が税金として納める必要があります。
これは無視できない金額となります。
次回、日本在住の場合に新4%ルールを検討した記事を載せます。
資産を長持ちさせるための秘訣
資産を長持ちさせるために、暴落相場ではできるだけ取り崩し額を控えめにすると良いでしょう。
過去の暴落を振り返ってみると平均11ヶ月程度しか続きません。
この暴落時に資産を取り崩すのは、自分の資産を安売りしていることになります。
この暴落時には、取り崩し額を減らす調整をお勧めします。
そして、相場が戻れば資産額は一気に回復します。
この少しの調整をするだけで自分の資産は自分の寿命より長生きさせることができます。
インデックス投資は毎年必ず5%増えるということではなく、+15%の年もあれば、▲10%の年もあり、大きく上下するってことです。
これを、20年、30年の長期で見れば運用利回りは安定しますが、短期で見るとかなり変動します。
まとめ
定額取り崩しは、定率取り崩しと比べると、暴落時に資産取り崩し額が多くなるので、資産を持続させるために、一定額の生活防衛資金を検討すると安心感があります。
生活防衛資金は子供が独立したら、少なくて良くなります。
そして、年齢と比例して物欲が無くなる傾向がありますので、必要な生活資が減ります。
生活防衛資金で、下落相場全てを賄おうとせず、一部だけでも生活費にあてれば、資産の持ちが変わりますので、生活防衛資金の検討するのが賢明といえそうです。
- 引退する年齢が若ければ若いほど、株式の割合を高くする必要がある
- 株式75%~100%で40~50年元本がもつ
(基本は株式を75%で運用し、暴落時に株式を100%へ変更する) - 日本居住者は、税金や為替コストを想定する必要がある