こんな悩みがある方のために、記事を書きました。

引退後に、資産が無くなるのが心配…
そんな方のために、インデックス投資を取り崩す方法に関する記事を書きました。
長年に渡りコツコツ積立をしていて、目標とする引退を達成!
「さぁ!自由な時間を趣味に充てるぞ」という時には、今まで積立した資産を取り崩し、現金化する必要があります。
趣味に時間を充てなくても、「資産を取り崩して生活し続けることが可能か?」
ということを検討しておけば、病気や介護で、仕事を辞めざるを得ないような意図しない早期リタイアもあると思います。
そんな時に、“過剰な現金化” で「老後に医療費、生活費が足りない」
もしくは、 “わずかな現金化”で「もっと好きなように使いたかった」
となるべく後悔しないように、出口戦略をシュミュレーションする事が大切です。
今回はインデックス投資の出口戦略である4%ルールについて記事を書きます。
今回の記事が、「面白かった」「タメになった」と感じた方は、紹介やSNSにアップしていただけたら励みになります。
4%ルールには2つある
“定額取り崩し” “定率取り崩し” の2つがあります。
どちらについても、築いた資産(stock)を取り崩して(flow)できる限り資産を減らさないといった考えはかわりません。
実はアメリカで、どんなポートフォリオで何%を現金化すると、資産はどれくらい残ったか?という研究を行った人達がいます。
- 4%ルールには定額と定率の2つがある。
- 定額取り崩し=トリニティ・スタディ
- 定率取り崩し=ウォール街のランダム・ウォーカー
定額取り崩し=トリニティ・スタディ
【定額取り崩しメリット】
・寿命がくるまでに資産額を使いきれる。
・取り崩し額が分かりやすい。
・証券会社で定期自動売却サービスがある。
【定額取り崩しデメリット】
・暴落時に資産額が大きく減る。
・資産が枯渇する可能性が僅かにある。
65歳で引退時の資産額 3,000万円
- 1年目の取り崩し額:3,000万円✕4%=120万円
- 2年目の取り崩し額:3,000万円✕4%=120万円
- 以降の取り崩しも同様
このままいくと、25年で資産が0円になってしまいます。
しかし、1998年にアメリカのトリニティ大学の教授3人が
運用しながら取り崩すと資産額が0%にならないという研究結果を出しました。
- 対象期間:
1926年から1995年(70年間) - ポートフォリオ:
株式50%(S&P500) 債権50%(高格付け社債) - 取り崩し率:
年4%
30年後に資産が残っている確率は96%
トリニティ大学の研究結果で、30年後にほとんどのケースについて資産が残っており、
しかも中央値で初期資産の8倍に増加していました。
65歳で引退時の資産額 3,000万円
取り崩し額:3000万円✕4%=120万円
1年目 ➡資産額3,000万円
30年後➡資産額2億4,000万円
(中央値:順位が中央である値)
2011年にトリニティ・スタディの筆者自身によって、検証用データが更新されました。
更新データの期間には、リーマンショックの暴落が含まれています。
更新データでは、30年どころか35年後に資産が残っている確率が96%であり、さらに40年後に資産が残ってる確率が86%もありました。
リーマンショックや、コロナショックのような暴落相場を踏まえて、4%ずつ定額で現金化しても、資産は長持ちする可能性が高いです。

FIRE検討ように別の記事で60年の超長期での検証結果やトリニティ・スタディーの弱点を記載しました。
定率取り崩し=ウォール街のランダム・ウォーカー
【定率取り崩しメリット】
・資産額が減りにくい。
・超長期に資産を残せる。
・取り崩し時にリバランスできる。
【定率取り崩しデメリット】
・暴落時に取り崩し額が少額になる。
・取り崩し額が分かりにくい。
・対応する証券会社が少ない。
65歳で引退時の資産額 3,000万円
- 1年目の取り崩し額:(横這い)3,000万円✕4%=120万円
- 2年目の取り崩し額:(暴落)2,500万円✕4%=100万円
- 3年目の取り崩し額:(暴騰)3,200万円✕4%=128万円
伝説の投資家である
バートン・マルキール氏の著書
『ウォール街のランダム・ウォーカー』で紹介されている方法です。
こちらの方法は 『毎年の資産残高×4%=取り崩し額』 の定率で取り崩す方法です。
長期的に見ると株式(S&P500)のリターンは平均7%、債権(米社債)は平均4%となります。
株式50% 債券50%のポートフォリオを組むと期待リターンは5.5%になります。
そして、ここにインフレ率1.5%を考慮すると、毎年資産の増加見込み率は4%になります。
毎年増加する分を取り崩しても、元々の資産は減ることがないという理論です。
物価上昇もしくは、通貨の価値が下がる
<例>
現在)コーラ110円 → 1ヶ月後)150円
取り崩し額は資産額に比例するため、毎年変動します。
現在のFRBの金融政策では、目標インフレ率が2%というところから、3.5%と考えるとよいでしょう。
定率取り崩しにつても別の記事で詳しく考察していますので、良かったらご参照ください。
疑問点
米国株、米国社債に投資しているが為替リスクは?
定額・定率両方とも、
米国株及び米国債権でのインデックス投資が前提になっています。
そのため、日本円に変える際、為替リスクが必ず生じます。
為替リスクに対しては2つの考え方があります
- 地理的インフレ率との総合で考える
- 円以外の通貨を保有して、リスク分散する
国別でのインフレ率との総合で考える。
日本は長期に渡るデフレで物価上昇はわずかです。
一方のアメリカは緩やかに物価が上昇しており、これまでを振り返るとFRBの金融政策が有効に機能して、インフレ率の調整することができております。
そのため、持続的な2%の物価上昇目標をコミットしてくると考えられます。
話を単純化するために、日本とアメリカの二国だけで考えます。商品には“一物一価の法則”により価格が一定になります。
すると、物価上昇が進むアメリカ(ドルが安くなる)、物価上昇が進まない日本(円が高くなる)という構造になります。
つまり、円高に進むと考えることができます。
円高になると、円転する時に有利に働きます。
リスク分散
日本には年金制度があり、円で年金が給付されます。
そこに、自分で積み立てた資産が全て円しかなければ、全ての資産が円だけとなります。
私見が入り大変恐縮しておりますが、国際社会の中で円だけの資産を持つというのは、逆にハイリスクと考えています。
円だけで資産をもつリスクはいくつかあります。
その一つに、日本は借金大国といわれており、もし仮に国際の格付けが下がると、日本が借金返済に疑問が出るということになるため、日本の信用がなくなり一気に円安に進む可能性が高いです。
そんなことからも、円しか持たないのはハイリスクだと考えています。
インデックス投資でなくアクティブファンドはどうか?
- 市場をアウトパフォームするファンドを探すのが難しい
- 信託手数料が高いため、長期投資に不向き
長期間15年で見るとアクティブファンドのインデックスに対する勝率は、10〜15%の勝率しかありません
(日本経済新聞2016年9月16日号記事より)
私達個人投資家が勝てるファンドを探すために時間を費やすより、インデックスファンドに投資した方が効率だと考えています。
たとえ運用成績が良かったしても、インデックスファンドと比べ、アクティブファンドは信託手数料が高い傾向があります。
仮に信託手数料(信託報酬)が2%の手数料がかかるとすると、成功確率が65%まで下がってしまいます。
資産を長持ちさせるための秘訣
資産を長持ちさせるために、暴落相場ではできるだけ取り崩し額を控えめにすると良いでしょう。
過去の暴落を振り返ってみると平均11ヶ月程度しか続きません。
この暴落時に資産を取り崩すのはドルコスト平均法をイメージしてもらえば、分かり易いのですが、自分の資産を安売りしていることになります。
この暴落時には、取り崩し額を減らす調整をお勧めします。
そして、相場が戻れば資産額は一気に回復します。
この少しの調整をするだけで自分の資産は自分の寿命より長生きさせることができます。
インデックス投資は毎年必ず5%増えるということではなく、+15%の年もあれば、▲10%の年もあり、大きく上下するってことです。
これを、20年、30年の長期で見れば運用利回りは安定しますが、短期で見るとかなり変動します。
積立を続けていれば、必ず、自分の資産は長期的に大きくなって将来豊かなflowをもたらしてくれるはずですので、これからも無理なくコツコツと積立てていきましょう。
カウチポテトポートフォリオ
2つの4%ルールの共通点は、「株式50%:債券50%」という所です。これはカウチポテトポートフォリオを参考にしていそうです。
老後にお金について、細かい計算に時間を掛けたくないといった考えからか期せずして、同じ割合になっています。
確かに同じ割合であれば、取り崩しの際にリバランスしやすいです。
(ストレスフリーの管理方法 カウチポテトポートフォリオとは)
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